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精読:精神分析1-0:Helene Deutsch:As If Personality

 

当機関での論文精読会を企画しました。

まず読むのにふさわしいものはなんだろう?と考えていて、ここに行き着きました。

注意事項としては、

  • 論文のリソースは各自で探してください。各種論文検索システムで入手できるはずです。
  • 基本的には全訳しますし、出版可能な水準にもっていきます。
  • 臨床精神分析の手法、殊に基本的かつ厳密なセッティングで行われた精神分析臨床が素材になっています。こうした論考を文化論や一般臨床にあてはめて色々語るのは自由だと思いますが、きちんとしたセッティングの仕方とその意味および限界点をある程度抑えておかないと、学問も臨床もぼやけてしまいます。この悪例がかつてのアメリカでの精神分析ムーブメントでした。気をつけないと危険な遊びか軽はずみなサブカルチャーに陥ってしまうのは、原子力研究や医薬の取り扱いと同様だとおもています。
  • それゆえ、このセッションへの参加者は経験や思索の方向性に基づいて絞られます。
  • ネット上では、その一部を、私たちの活動に興味をお持ちいただいた専門家や一般の方への紹介として、また、英語翻訳の方法論を垣間見れるものとして公開いたします。

論文タイトルは、

Helene Deutsch (1942) Some Forms of Emotional Disturbance and their Relationship to Schizophrenia: The Psychoanalytic Quarterly

です。

少しドイチェさんについて説明します(Wikipediaもどうぞ)。彼女は東欧生まれのウィーン育ちの精神科医で、フロイトの直弟子の一人です。また、精神分析境界の女性会員第1号でした。成人女性を中心に治療したようで、著作もそうした関連のものがメインです。ただ、とても慎重で実直な精神分析臨床を行っていたようです。それはこの論文が現代まで生き残っていること、および、それを真正に扱ったと思われる後年の研究者の論文もまたとても慎重な臨床現実を描き出していることからもうかがえます(『メラニー・クライン トゥデイ』に掲載されているマルコムの論文などを参照)。ちなみに、ご主人も精神分析家の方で、後にアメリカのマサチューセッツ・ケンブリッジに移り住んでいます。

きちんとした臨床研究者は、現実外界と心的現実の識別、およびそれとあいまった、現実外界での自己と他者、そして心的現実における(可塑性のある)対象群(自己要素と他者要素、外界イメージ要素)の識別についてとても丁寧に扱っているのがわかります(ビオンの『人格の中の精神病部分と非精神病部分の識別』など)。

初心者向けではありません。だって、専門家向けの(当時も今も)最先端の研究論文ですから、それは仕方ありません。でももしこうした臨床や学問、ことにあたる際の慎重で厳密な姿勢に興味をお持ちの方がいましたら、一緒にワークしていただければ、と思います。

参加希望の方の連絡先は未定ですので、後日お知らせします。