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実況スーパービジョン: 逐語記録、メモのとり方、スーパービジョンの役立て方

実況スーパービジョン: 逐語記録やメモのとり方、スーパービジョンの役立て方(のスタンス)

これから何回かに分けて、過去に行ったスーパービジョンの実例を録音素材とともにご紹介します。

*この記事の音声では、音質を変えています。また、クライアントの情報がわからなくなるよう、一部ピー音や削除をしています。また、聞きやすさの観点でも一部を削除しています。文脈が変わらないように最大限努めていますし、話した順番は一つの音声の中では入れ替えはありません。

初級者のためにスーパービジョンの説明から。

導入的解説

スーパービジョン(supervision:SVと略)とはおおよそ指導者(スーパーバイザー:バイザーとかSVerと略)に面接の一回一回(セッションといいます)の会話的な記録を見て指導してもらうもので、この形式は精神分析の世界からはじまりました。

当機関で示す「深刻な心理療法」「心理探求学」とは基本的には精神分析的心理療法と臨床精神分析学のことです。どうして言い方を変えているのかは別の場所で触れます。

基本的にはスーパービジョンはケースとのやりとりをどう理解し、どう考え、どう示すかの方法を教えてもらう場所です。しかし、おわかりでしょうが、私たちがクライアントに会う時、そのままを言えばよいという正解はないので、実践上は教わったことを消化吸収して、自分なりに組み立てないといけませんから、受ければ済むわけではないので大変です。

また、本質的な精神分析的スタンスでは、「ある分類法やパターン、フレームワークに型はめ的にあてはめても、個人の深い変化はおきにくい」とされています。どうしてそう考えるようになったのかも別の機会にしましょう。

そういうわけで、スーパービジョンは理想を言えば、あるケースのある回についての説明とディスカッションだけになるのだけど、実際には、見立て(西欧圏ではdiagnosisis and assesment of personality)の作り方、ケースマネージや面接セッティングの組み方・導入の仕方、学問的理論や仮説を教わることも多いです。

ですが、もし面接の中でどう考えそれをどのように伝えるかの提案と議論がSVerと教わる側(スーパーバイジー:バイジーとかSVeeと略)の間でなされてなければ、それはかっこよくスーパービジョンと言っていても、実際は単に個別指導とかコンサルテーションとなります。

スーパービジョンという言葉を聞き慣れない人もいるでしょうから違いだけ説明してもよくないですね。

それに今回掲載したのは、まさにただの授業的なところです。とはいっても、バイジーの方はすでに10年近く一般心理臨床経験があり、普通の心理相談なら自分でできるレベルです。その人が、面接の内容の指導を受ける上での、逐語記録のとり方で困惑を述べたのと、それ以前から精神分析的なスタンスのSVの役立て方に悩んでいたので、示したほんの短いやりとりのところです。

このカウンセラーさんは、自分の声質や暮らしの現実から、精神分析的心理療法の専門家になるつもりはなかったのですが、

自分のできることだけでは理解や応対、そして役立つことが難しいと感じたケースについて、他の分析的なセラピストのコメントを聞いたのをきっかけにSVを受けに来たのでした。

では、どうぞお聞きください。

*なお、音声中で述べているビオン、松木、ボラス、ケースメントとは、精神分析学(の中の対象関係論がベース)の大家(たいか)です。